東京『るろうに剣心』~小柳奈穂子さんの話

まどか:れなです。もう6日も過ぎましたが、2月・大劇場以来だった雪組『るろうに剣心』東京公演観劇後に、あれこれ考えたお話を記事に残しておきます。公演には直接関係しない小柳奈穂子さんまで、内容は3部構成で。

(1) 宝塚歌劇作品としての成功には洋物の要素が重要

ほぼ時代劇と呼べるほどチャンバラ色が濃厚で、剣心自身は逆刃ながら日本刀を差したハカマ姿ですが、周りには洋装の登場人物が多い上に、本編の中盤以降は洋館内でストーリーが展開するため、通常の宝塚スタイルで大きな羽根を背負って階段を下りるパレードまで、移行がスムースなのは『るろうに剣心』の大きな強みですね。

(2) 銀橋を渡る望海風斗さんの主題歌が素晴らしいです

単独で上演される小池修一郎作品の場合、本編後には公演の2番手(格)男役スターさんが下手で迫り上がってから、主題歌を歌いながら銀橋(オケピと客席の間にある張り出しステージ)を渡って、そのままロケット(ラインダンス)に続くのが毎度の定番パターンで、『るろうに剣心』でも決まり事を守っています。今回は主題歌の持つ味わいに加えて、2番手の望海さんが卓越した歌い手であるため、この銀橋を渡る場面だけでも、私はチケット代を払う価値があると確信出来るほどなのです。単なる妄想ですが、ファミリー向けの内容で『るろ剣』が実写ドラマ化されたら、望海風斗さんが歌う雪組公演の主題歌をテレビ放送でも使って欲しいと、本気で願ってしまいました。

(3) 『エリザベート』を演出するのは小柳奈穂子さんです


小池さん版『るろ剣』は、原作や映像化作品でお馴染みのキャラクターを活かしながら、独自の登場人物を軸にしてエピソードを展開させて、お芝居に完結性を与えるのに成功しています。記憶にあるパターンなので思い出してみたら、1年前(2015年1月~3月)に同じ雪組で上演した『ルパン三世』と重なりますね。あちらは2本立て公演でしたが、ルパン一味+銭形警部のドタバタ劇に王妃マリー・アントワネットを加えて、まるでアニメ版のTVスペシャルか、映画のような独立した物語に仕立ててありました。順番は逆でも、脚本・演出を手掛けた小柳奈穂子さんは、小池修一郎さんを意識しながら大学~歌劇団と進んだ20数歳違いの後輩ですから、似通った手法を選択するのは当然だと思います。今夏の宙組『エリザベート』には小柳さんが、助手でなく演出の立場で臨むので、小池さん路線を継承する担い手として、改めて広く実力を示す大事な機会になると、私は大いに注目しています。

小池修一郎さんはヒット作が多い分だけ、アンチも発生させていますし、オリジナル脚本だと観客が不満を抱える場合も少なくないのですが、『るろうに剣心』は申し分のない娯楽作品で、これに批判を並べる人間がいても、まともに取り合う必要など皆無です。本当に見事な手腕ですよね。そして自身が活躍するだけでなく、後継者であると演劇ファンに意識させる小柳さんが育っているのは、小池さんの歴史的評価をさらに高めるかも知れません。